このページを読んで頂くことで、人類がヨモギを利用してきた歴史を見てヨモギに期待できる効果などを見直し、今生きている私達の生活に活かすことが出来ます。
この記事が、身体の中からも外からも良くしてくれる効果を持つ「ヨモギ」について、理解を深めるきっかけになったら幸いです。

ヨモギはキク科ヨモギ属の多年草です。
そのあたりの道によく生えていて、葉の裏に白い産毛が生えています。
誰もが一度は見たことがあるような、どこにでもありふれた珍しくない植物なのですが、実はとてもパワーを持った奇跡の「薬草」なのです。
日本や海外で昔から利用されてきた「ヨモギ」
在来種であり、日本でははるか昔から自生しており和名の「ヨモギ」の由来はハッキリと分からないようです。
気付いた時には生えていた。そんな風に言われたら納得してしまいますよね。

アイヌでは神様として祀られています。アイヌ語でヨモギを「ノヤ」(noya)と呼ぶそうです。
ヨモギ属の属名 Artemisia は、ギリシャ神話に登場する女神アルテミスに由来しています。
「女性の健康の守護神」という意味で、月経痛・生理不順・不妊に効果があるとされていることから属名がつきました。
効能から名前がついた、ひとつの例ですね。
それだけヨモギの効能が一般的に知られていたのでしょう。
他にも「ハーブの女王」や「和製ハーブ」とも呼ばれています。

昔から人類に利用されてきたヨモギは、例えば日本では食料、お茶、薬、お灸、風呂、煙草、染料、生活用品、神事など、様々なものに使ってきました。
浄化作用もあるとされており、日本の他にヨーロッパでも浄化に使われていました。
韓国では伝統的にヨモギが使われており、料理やよもぎ蒸しなども最近では有名です。
ヨーロッパやアメリカにも薬として使われてきた歴史があります。
中国では漢方で、様々な症状の治療に使われてきました。
漢方の知識を少し深めてみましょう。
一般的に植物にはそれぞれ、身体を冷ましたり温めたり、トウガラシや生姜のように身を熱するなどの性質があります。
ヨモギはその性質が、季節によって変化する珍しい植物でもあります。
1月〜6月の新芽や若葉は「微温」ですが、7月〜12月の古葉は「熱性」なのです。
どういうことかと言うと例えば、熱による症状にヨモギを服用してしまうと体調が悪化する可能性がある、ということが分かるのです。
ところが逆に、「ヨモギ蒸し」に冷え性を改善する効果があることにも納得がいきますね。
身体の内側での効果
ヨモギの「旬」は3月〜5月で、草餅が有名です。
おひたしなどでも食べられていますが、天ぷらにするとヨモギ独特の香りと、旬を感じる山菜の苦味がとても美味しいのです。
春を過ぎると茎が硬くなってしまうので、特に春先の新芽が美味しく召し上がれます。

ヨモギの主な栄養素はカルシウム、鉄、カリウムなどのミネラルや、ビタミンA、B1、B2、C、Kが豊富です。
特にビタミンKは野菜の中でもトップクラスの含有量で、更にβカロテンはホウレンソウの3倍とも10倍とも言われます。
老廃物を外に出してくれるデトックス効果や、血液をサラサラにしてキレイに保ってくれます。
不溶性食物繊維が豊富で、腸内環境を整えてくれます。
身体を温める性質があり、冷え性や更年期障害の改善をしてくれます。
主成分であるクロロフィルが余分な悪玉コレステロールを吸着し、コレステロール値を下げてくれます。
最近では科学的にも、活性酸素除去作用、抗酸化抑制作用、抗糖尿病作用、免疫調節作用などがあることも分かっています。
若返りの薬草と呼ばれていることにも納得できますね。
もっと言いますと、ヨモギの葉緑素は免疫誘導体であるインターフェロンを含有するうえ、体内のインターフェロンを増やしてくれる働きがあり、実際にマウスのガンを小さくさせた実験結果も報告されています。
ウイルスを発ガンプロモーターとするガン(根源のガン細胞)に対する予防効果があるということです。
ヨモギの葉緑素の効果を得たい場合は、生のヨモギを服用し続けると効果的なのではないでしょうか。
身体の外側での効果
ヨモギには抗菌作用や抗炎症作用があり、肌にとても良いのです。
アトピーの治療にも利用されています。
また、切り傷には手のひらでヨモギの葉をすり潰し、患部に塗ると止血効果があることは田舎の高齢者の方々の間では常識のようになっています。
更に言うと、春のヨモギよりも夏のヨモギの方が止血効果が高いと地元のおじさんが言っていました。
もしかすると夏のヨモギの方がビタミンKの含有量が多いのかもしれません。

冷え性の改善にヨモギが利用されることも多く、療法としてはよもぎ蒸しが有名です。
よもぎ蒸しは、中国の楊貴妃が開発されたと言われており、600年〜700年前に韓国に伝わってから民間療法として広まったようです。
やり方としては、まず裸でマントを被り、穴が空いた専用の椅子に座ります。
椅子の下からヨモギを煎じた蒸気を出して、デリケードゾーンの粘膜を中心に、体全体で浴びて吸収させていきます。
身体の内側から温めていく療法で、施術の最中はしっかり汗をかきます。
産後ケアとして使われることが多く、大きくなった子宮や産道を収縮させて元に戻す子宮復古や、膣の収縮、血流の回復など「産後の肥立ち」にも良いとされています。
低体温症、むくみ、月経不順、新陳代謝の改善などの効果が期待できます。
よもぎ蒸しの効能を見てみると、お灸のもぐさにヨモギが使われていることにも納得できますし、ここまでの効能を見てみると、アルテミスの属名がつくほど女性の味方なのも納得です。

ヨモギはその他にも、衣類の染料としても利用されていました。
抗菌作用も期待できることでしょう。
媒染によって変わりますが、黄色〜黄緑色〜若竹色〜老竹色に染まるようです。
防虫効果もあるため、衣料や寝具に利用されることもありました。

アロマとしても利用されており、ヨモギの香りのβ-カリオフィレンは、女性ホルモンに働きかけ整えてくれる効果があります。
更にシオネールには、高ぶった神経を鎮静化させ、睡眠の質を高めてくれます。
食べても塗っても、香りでも女性の味方をしてくれる存在なのですね。
色々な使い方をしても、似たような効能を得られるのが不思議に思えませんか?
余談になりますが、ヨモギの花の周辺部はおしべの無い雌性花、中心部はおしべ、めしべが揃っている両性花で、いずれもが結実します。
花弁部分は赤褐色です。
属名にArtemisiaを選んだ人の気持ちが少し分かる気がしてきます。
ヨモギを生活に取り入れるために
昨今では、大手メーカーなどでもヨモギ成分を配合している商品が開発されていたり、
ご自身の手でヨモギオイルやクリームを作り、それを日常で使用している方も増えています。
インターネットを検索すれば、作り方などの情報が動画で簡単にまとめられていたり、
そういったキットを簡単に購入する事もできる時代でもあります。
ここから、ヨモギが持つ可能性への関心が高まっていることを読み取れます。
自然界に元々ある植物の中には、人間の生活に役立つものが数多く存在しています。
ヨモギもその一つであり、古くからの知恵を活かし、現在の生活の中に上手に取り入れていくことが出来ます。
例えば、春に新芽を摘んで料理に使う、乾燥させてお茶にする、お風呂に入れる等々
日常生活の中で手軽に活用できる方法がたくさんあります。
ヨモギは、身近にありながら多くの可能性を秘めた植物です。
歴史や伝統から知恵を学ぶこともできるし、取り入れる方法も見つかります。
現代では、ヨモギの研究をされている普通の主婦の方々もインターネットで気軽に本格的に発信できますので、
そのジャンルも盛り上がりを見せています。
新たな情報に触れながら、最終的にはご自身やご家族の皆様に合う活用方法を発見できれば幸いです。